最近のM&A関連の記事では、決算書や契約書だけでは見えないIT負債やデジタル権限の引き継ぎが注目されています。会社を買った後に、ログインできない、ドメインを移管できない、SNSや広告アカウントの権限が移せない、古いシステムのリスクが見つかるといった問題が起きるためです。
会社買取の相談でも、Webサイト、ドメイン、SNS、LINE公式アカウント、決済、クラウドサービスを持っている会社は、事前に管理状況を整理しておくと説明しやすくなります。
最近の記事で語られている要点
noteでは、財務DDや法務DDだけでは、買収後に出てくるIT負債やサイバーリスクを防ぎきれないという内容の記事が公開されています。たとえば、管理者権限が個人メールに紐づいている、仕様書のないExcelや古いシステムに業務が依存している、ネットワーク機器が放置されているといった問題です。
また、SNSアカウントやWebメディアの売買に関する記事では、フォロワー数や収益だけでなく、二段階認証、登録メール、規約、運用履歴、管理者権限の確認が重要だと整理されています。Xの公式ヘルプでも、ユーザー名やアカウントの扱いには制限があり、単純に自由譲渡できるものではないことが示されています。
要約すると、最近のトレンドは「デジタル資産にも値段がつく」一方で、「移せる権利と移せない権利を分けて確認する」方向です。
売却前に棚卸ししたいデジタル項目
- ドメインとDNSの管理会社
- サーバーやCMSのログイン権限
- 会社メールと管理者メール
- Googleビジネスプロフィール
- LINE公式アカウント
- X、Instagram、YouTubeなどのSNS
- 広告アカウントやアクセス解析
- EC、予約、決済、CRMなどのSaaS
- 二段階認証の端末やバックアップコード
- 外注先や制作会社との契約
この一覧があるだけでも、買い手は引き継ぎの難易度を判断しやすくなります。
個人名義のままにしない
小規模な会社では、社長個人のメールアドレスやスマートフォンで、会社の重要アカウントを管理していることがあります。この状態では、会社を譲渡しても、権限移転に手間がかかったり、規約上そのまま渡せなかったりする場合があります。
売却を考え始めた段階で、会社用メール、管理者権限、請求先、二段階認証、契約主体を確認しておくと、正式査定や引き継ぎで詰まりにくくなります。
WebサイトやSNSがある会社は早めに相談する
このサイトの買取事例にも、Webサイト保有の会社を評価したケースがあります。WebサイトやSNSは、事業履歴や問い合わせ導線として評価材料になる場合があります。
ただし、評価されるのは「存在すること」だけではありません。誰が管理しているか、権限を移せるか、過去の運用履歴に問題がないかまで確認することが大切です。
参考にした公開情報
- 美田翔二郎「買収・承継後に露呈するIT負債とサイバーリスク」
- https://note.com/mitashojiro/n/n8af38c09c72a
- M&A-WEB「SNSアカウント販売・売買完全ガイド」
- https://ma-platform.com/column/sns-account-baibai/
- Xヘルプセンター「X Handle Marketplace」
- https://help.x.com/ja/using-x/x-handle-marketplace