使っていない法人や小さな会社を売却するとき、「いくらで売れるか」と同じくらい大切なのが、費用を支払った後にいくら残るかです。「成功報酬は何%」という説明だけで計算すると、最低報酬や別途費用によって想定が変わる場合があります。
2026年9月には、noteで登録支援機関の最低手数料を調べた記事が公開されました。また、名南M&Aの公式料金表には、10月1日現在の譲渡企業向け料金として、料率とは別に最低報酬と消費税の扱いが明記されています。ここから確認したいのは、特定の金額が相場だということではなく、「料率・最低額・別途費用」をセットで読む必要があるという点です。
この記事では、休眠会社や小規模法人の所有者に向けて、仲介を利用する場合の見積もりの見方を整理します。情報の確認日は2026年10月23日です。
最初に「誰に何の費用を払うか」を確認する
買い手に会社を直接売る契約と、買い手探しや交渉調整を仲介会社へ依頼する契約では、支払先も業務も異なります。見積もりを受け取ったら、買取代金の提示なのか、仲介・助言の費用なのかを分けて確認しましょう。
たとえば、売却価格が高く見えても、そこから仲介費用や外部専門家の費用を支払う提案があります。「売り手負担なし」と説明された場合も、登記、税務確認、実費まで含むのかを聞く必要があります。当サイトでもLINE相談は無料ですが、正式な手続きや専門家対応などの費用は、必要となる内容に応じて事前に確認します。
料率より先に最低報酬と計算の基礎を見る
最低報酬は、料率で計算した金額が一定額を下回る場合に適用される下限です。仮に「譲渡額の5%、最低報酬50万円」という条件で譲渡額が300万円なら、5%の15万円ではなく50万円が適用されます。これは仕組みを説明する仮の例で、当サイトの料金や一般的な相場を示すものではありません。
さらに、料率を掛ける対象が株式の譲渡額なのか、借入金などを加えた金額なのかで結果が変わります。最低報酬がある場合も、どの計算と比較して下限を適用するのかを確認してください。
見積もりでは「この会社を、この金額で売ると、売り手の負担は税込みで総額いくらか」と質問し、計算式を書いてもらうと分かりやすくなります。最低報酬を定めること自体を問題視するのではなく、自社の規模に対してどんな業務を受けられるかも合わせて判断します。
二つの提案を同じ条件で並べる
比較用のメモには、譲渡代金、仲介費用、別途費用、入金予定日を書きます。税金を差し引く前の比較例として、費用を税込みとした仮の金額を置いてみます。
- 提案A:譲渡代金300万円-仲介費用50万円-別途費用10万円=240万円
- 提案B:譲渡代金270万円-仲介費用20万円-別途費用10万円=240万円
提示額が違っても、ここまでの受取額は同じです。ただし、入金の確実性、引き継ぎ範囲、売却後の責任まで同じとは限りません。金額の比較は判断材料の一つとして使います。
また、会社の預金残高と株主が受け取る代金は別に整理してください。株式譲渡と事業譲渡では代金の受取人や税務が変わるため、この式だけで最終的な手取りは確定できません。税金や個別の精算を含む見込みは税理士に確認します。
成約しなかった場合の支払いも書き出す
着手金、月額報酬、中間金がある場合は、成約前にも支払いが発生し得ます。既に払った中間金が成功報酬に充当されるなら、総額の計算で二重に足さないようにしましょう。充当されない契約なら、別に合算します。
契約前には、次の質問への回答を見積書や契約書で確認します。
- 最低報酬と消費税を含む売り手の総負担はいくらか
- 着手金・中間金は成功報酬に充当されるか
- 外部専門家費用や実費は誰が、どこまで負担するか
- 成功報酬は最終契約時と代金決済時のどちらに発生するか
- 破談や途中解約の場合、何が請求され、何が返還されるか
- 契約終了後に成約した場合も報酬が発生する条件はあるか
特に先払いが必要なら、売却代金を受け取る前に資金を用意できるかも確認します。「成約すれば払える」という見込みだけで進めないことが大切です。
相談前に会社情報と費用の前提をそろえる
中小企業庁の案内では、M&A支援機関登録制度のデータベースで最低手数料や報酬基準額の種類などを確認・検索できます。ただし、公表された標準的な料金と、個別案件の契約条件は分けて確認しましょう。
当サイトの簡易査定は、会社の買取可能性を確認する入口で、仲介手数料や税引後の手取りを計算する機能ではありません。まずLINE相談前に準備したい情報を参考に会社の状態を整理し、相談時に費用の負担者と発生時期も確認すると、提案を比べやすくなります。
買取可能性の判断材料は会社買取の査定ポイントで確認できます。価格の根拠と費用の明細を両方そろえ、納得できる条件で次の手続きへ進みましょう。
参照した公開情報
- 名南M&A「料金体系」(2026年10月1日現在の表示。特定企業の料金であり相場ではありません)
- 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」(制度・データベースの確認先。第3版は2024年公表)
- M&A制度ラボ「登録支援機関3,114社の最低手数料を、全部数えてみた」(2026年9月21日公開。筆者の独自集計で、本文では件数や割合を判断根拠に使用していません)